2020年10月6日

体を大切に『もう1年』、『もう1年』 アオバナ栽培

   中川 正雄さん 90 歳  下笠町

 
 現在、草津市でただ一人、市の花“アオバナ”の栽培をされ“青花紙”までを製作されている下笠町の中川正雄さんを訪ねお話を聞きました。
 “アオバナ”はツユクサの変種で、江戸時代から絞り汁で作った“青花紙”が友禅染の下絵描き染料に用いられて重宝され、最盛期の大正時代には約500軒が栽培していたと言われています。
 “青花紙”作りは、真夏の晴天時に摘み取った花びらの絞り汁を和紙に何度も塗り重ねる根気の必要な作業です。
 しかし和装離れや化学染料の普及から激減し、“青花紙”を製作されているのは中川さんだけになりました。

―“アオバナ”との出会いは―
 農家の長男に生まれましたので、小学校1年生ぐらいから“アオバナ”の花摘みをしていました。

― 栽培面積(経営面積など)・収穫量・出荷先など―
 昔はたくさん耕作地がありましたが、現在は田80㌃、畑20㌃で、その内1.5㌃に“アオバナ”を栽培しています。
 
― “アオバナ”のどんなところに気をつけていますか?苦労しますか? ―
 花を摘み取って絞り、その汁を和紙に染みこませて“青花紙”を作る作業は、真夏の炎天下での過酷な作業から“地獄花”と言われるほど大変な苦労が伴います。私は当たり前と思っていますがね(笑)。
 栽培は、花びらを育てなければいけないので、油粕や米ぬかなどを肥料にしており、その施し加減が難しいですね。
 また今年は、とくに雨が多かったので根が腐り苦労しました。

― 喜びややりがいは ―
 つらい仕事なので喜びなんてないですね。でも友禅染の下絵描きをされている方が「どうしても“青花紙”が必要です」と言ってくださるのを耳にしますので「やめる」とは言えませんね。

―先日NHKの取材を受けられたそうですねー
 注目されるのは結構なことなのですが、後継者が育っていないのが残念です。

― これからの目標(夢)は ―
 熱心に技術を教えてほしいと言って下さる方もおられますので心強く、気持ちにお応えしようと思っています。
 
※中川さんは、学校を卒業後、農作業の傍ら、土木作業などいろいろな仕事に就かれ、33歳の時に滋賀県経済連(現全農)に入組し、定年まで勤め挙げられて現在に至っておられます。
 新聞社やテレビなどの取材や、見学、視察なども快く引き受けておられているとか。
 一昨年は湖南農業高校の生徒が中川さん宅を見学に訪れ、昨年は同校に出向いて栽培方法や作業についての出前授業を行われたそうです。
 また今年は、中川さんの“青花紙”を使って加賀友禅の下絵描きされてる方が作業現場の見学に来られ、作業の大変さを痛感されていたそうです。
 そして中川さんは「体を大切に『もう1年』、『もう1年』と思ってやっていきたいです」と笑顔で話されていました。
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“青花紙”の製作道具を前に中川さん